「日本と中国をつなぐ人気エンタメコンテンツ」オンライン講演会実施報告
イベント
2020年10月25日(日)に北京語言大学東京校主催のFun Fan Chinaシリーズオンライン講演会「日本と中国をつなぐ人気エンタメコンテンツ」を実施しました。
今回は、中国で多くのミュージカルに参加され、また日中映画祭実行委員会のプロデューサーを務める株式会社World Code代表取締役の良知真次氏をゲストとしてお招きしました。
以下、オンライン講演会の概要です。
講演者経歴
15歳の時にジャニーズジュニアとして芸能界入りします。
嵐、キンキキッズ、V6、TOKIO、少年隊のバックダンサーを務めました。
初舞台は、憧れていた少年隊ミュージカルプレイゾーンでした。
4年間活動して、ジャニー喜多川さんにショービジネスについて教えてもらいました。
その後、20歳で劇団四季に入団しましたが、それまでとは180度違う世界で、また1から勉強する研究生からのスタートでした。
2年間さまざまな舞台に出た後、東宝芸能に所属してドラマ、映画、舞台に出演しました。
そして、2年前に会社を設立し、現在では製作者、表現者としてジャンルを問わず行っています。
中国との出会い
「NARUTO-ナルト-」〜暁の調べ〜
中国には、「NARUTO-ナルト-」〜暁の調べ〜というミュージカルで最初に中国に行きました。
芸能活動をする中で、中国と関わるというのは夢の一つでした。
突然いただいたお話だったので、驚きましたが、上海で、おいしいものが食べられるお店に行ったり、タピオカを飲んだりして、楽しみました。
「NARUTO-ナルト-」〜暁の調べ〜ではイタチ役を演じました。
イタチは日本でも中国でもとてつもない人気のあるキャラクターで、ミュージカルで登場する際には、後ろ向きで振り向く形でした。
それが、中国で出てきた時には、振り返った瞬間、ギャーっという歓声があがりました。
歓声が止まらないと大スターなのかと勘違いしてしまうほどで、中国での2次元のキャラクターの人気を感じました。
「陰陽師」~平安絵巻~
「陰陽師」~平安絵巻~というミュージカルでは、上海、深セン、北京で講演し、1か月中国に滞在しました。
こちらは、題材としては日本のものなのですが、原作は中国のゲームです。
ゲームとしては全世界で2億ダウンロードがありました。
ゲームの特徴としては、日本のコンテンツを使って、声優も日本の声優を使っているにも拘らず、製作は中国という点で、ゲーム内の字幕も中国語です。
そのミュージカル版として訪中させていただいたのですが、これははじめて日本と中国が合作でタッグを組んで作った2.5次元ミュージカルとなりました。
10日ずつ上海、深セン、北京に滞在し、それぞれの都市で景色も食事も違って、役者もスタッフも行くところ行くところで食べ物や観光などを楽しみました。
火鍋を囲んで食べたり、上海では上海ガニを食べたり、青島ビールなども飲みました。
表現をする際には、その地域の食事を食べる、飲むということも大切だと思っています。
NPO法人日中映画祭実行委員会プロデューサー
2.5次元ミュージカルの活動を中国で行っている中で、日本と中国とエンタメを通して交流をしている人材として日中映画祭実行委員会のプロデューサーとしてお声かけいただきました。
日中映画祭の開会式のセレモニーの演出、構成、振り付けなど行っています。
2019年は上海の映画祭で日本のアーティストと上海の子どもたちのコラボレーションによる、映画「君の名は」の主題歌になっているRADWIMPSの「なんでもないや」の演出、振り付けもしました。
2020年は10月27日から11月1日まで中国映画週間が開催されます。
新型コロナウイルスの関係で縮小しての実施になりますが、このような大変な時だからこそできることもあると考えています。
2.5次元ミュージカルとは
2.5次元ミュージカルとはいうのは、1つの答えがあるのものではありません。
2次元がアニメ、ゲームであるのに対して、現実世界が3次元。
2.5次元というのはその間にあるものといった感覚ですが、その解釈はさまざまです。
そこが役者側での挑戦しどころだと感じています。
たとえば、2次元寄り、つまり原作の内容に忠実に2.5次元をつくるのか。
もしくは、3次元寄り。つまり演じる俳優に合わせて2.5次元を作っていくのかで作品が変わってきます。
2次元に忠実と言っても、演じる限り演者の呼吸などアニメにはない部分がミュージカルには入ってきます。
また、演者の体調やお客様の反応は毎回違うので、毎回違ったものになるというのも2.5次元の面白さだと思います。
ステージ上で役者は日本語で演じます。
中国語の字幕も表示されますが、日本語のセリフを言った時に笑ってくれたり、泣いてくれる人もいたのが印象に残っています。
中国の人と話をしてみると、日本語はアニメ、ゲームで覚えたという人が多く、言葉の壁さえも超えるコンテンツになっているのだと感じました。
中国で講演する場合は、日本人スタッフと中国人スタッフが協力し合って1つのものを作る形になります。
そこも中国で講演する時に感じられる日本との違いの一つかと思います。
日本と中国のエンタメの違い
CGの積極的活用
日本と中国の映画での違いとして感じるのは、中国はCGが多く使われていること。
私自身がミュージックビデオに出演した時も後からCGを入れるため、スタジオの中でグリーンスクリーンをバックで撮影する時が多かったのが印象的です。
最先端で新しいもの、それが武器になっていて、中国コンテンツの魅力の一つではないかと感じています。
お客様としての反応
2.5次元ミュージカルを楽しんでくれるという点では日本も中国も同じです。
ただ、日本ではかなりの数の2.5次元ミュージカルが上演されていて、日常に近づきつつあるのではないかと感じます。
2.5次元と言っても、3次元よりの2.5次元という感じです。
一方、中国の場合は、まだコンテンツが少ないため、2次元寄りの2.5次元といった感じで新鮮さがあるのだと思います。
オープニングで出演した瞬間に号泣をする方、歓声が止まらないといった反応がダイレクトに伝わってくるなという印象です。
もしかしたら、これは単に感情を表に出すかどうかという違いなのかもしれませんが。
そういった点では、感動するシーンで、中国では「ワオ」とか「おー」という声が出たりします。
イタチが死んだときに「oh my god」と英語で言った人もいました。
日本では感動シーンは静かなので、中国ならでは科と思います。
技術面の違い
中国講演では日本のスタッフが照明や音響も行いました。
そういった点では技術についてはあまり感じられませんでしたが、試写会の際に大きなLED画面を使ったことが印象的でした。
あれだけ大きなLED画面だとかなりのコストもかかると思うので、そのような設備を置けるのが中国の魅力かと思いました。
Q&A
今回はオンラインでの講演会ということで、観覧されている方々から質問を受け付けました。
Q.日本のエンタメコンテンツはどのようなジャンルが中国では受け入れられやすいのでしょうか?
日本のアーティスト、アイドルは中国でも人気がると思います。歌って踊れば女性ならかわいい、男性ならカッコ良いということで、世界共有の観点かと思います。
Q.中国語を勉強したことは?
陰陽師のカーテンコールで中国語を話す場がありました。
そのために必死で練習をして話せるようになった。
「陰陽師の晴明役を演じている良知真次です。ミュージカル陰陽師はどうでしたか?僕はみなさんのことを大好きです。」ということを中国語で今で言えるようにしました。
日本と中国の文化交流で大切にしている点は?
国同士のことなので、政治的な問題が発生することがあります。
しかし、つながったものを大切にするということを心がけています。
新型コロナウイルスで講演なども中止になることが多いですが、大変な時だからこそ、エンタメの火を消してはいけないと強く思っています。
中国で驚いたことは?
撮影の時に、日本では監督が「ヨーイ、はい」といってスタートします。
中国では中国語でそのような言葉があると思っていました。
しかし、実際に監督が言ったのは、「3,2,1アクション」と言っていて、英語なんだと少し驚きました。
経営者となっては変わった点は?
製作者としての立場になりました。
ただ、その際も表現者として現場に行ったこと、感じたことを製作する時も意識して伝えるようにしています。
都市によって舞台の客の反応は違いはありましたか?
あまり違いは感じませんでした。
それよりも日によって違うということを感じました。
というのも、生身の演者が演じるので、毎回笑う部分などが異なるからです。
最後に
日本と中国でエンタメ、文化交流をすることについては、国境の壁はないと考えています。
言葉がなくても伝わることは多いと思います。
そのようなことを大切にしながら、エンターテイメントの挑戦をしていきたいです。
11月Fun Fan Chinaオンライン講演会予告
11月度のFun Fan Chinaは北京外国語大学国際商学院の中国人先生および北京で活躍する日本人学生団体の代表に登壇して頂きます。
中国人のライフスタイル最前線の情報や、北京で日本人学生たちがどのような活動をしているのか、気になる方は11月28日の講演会にも是非ご参加ください!
(HP近日公開予定)
では、また次回!
今回は、中国で多くのミュージカルに参加され、また日中映画祭実行委員会のプロデューサーを務める株式会社World Code代表取締役の良知真次氏をゲストとしてお招きしました。
以下、オンライン講演会の概要です。
講演者経歴
15歳の時にジャニーズジュニアとして芸能界入りします。
嵐、キンキキッズ、V6、TOKIO、少年隊のバックダンサーを務めました。
初舞台は、憧れていた少年隊ミュージカルプレイゾーンでした。
4年間活動して、ジャニー喜多川さんにショービジネスについて教えてもらいました。
その後、20歳で劇団四季に入団しましたが、それまでとは180度違う世界で、また1から勉強する研究生からのスタートでした。
2年間さまざまな舞台に出た後、東宝芸能に所属してドラマ、映画、舞台に出演しました。
そして、2年前に会社を設立し、現在では製作者、表現者としてジャンルを問わず行っています。
中国との出会い
「NARUTO-ナルト-」〜暁の調べ〜
中国には、「NARUTO-ナルト-」〜暁の調べ〜というミュージカルで最初に中国に行きました。
芸能活動をする中で、中国と関わるというのは夢の一つでした。
突然いただいたお話だったので、驚きましたが、上海で、おいしいものが食べられるお店に行ったり、タピオカを飲んだりして、楽しみました。
「NARUTO-ナルト-」〜暁の調べ〜ではイタチ役を演じました。
イタチは日本でも中国でもとてつもない人気のあるキャラクターで、ミュージカルで登場する際には、後ろ向きで振り向く形でした。
それが、中国で出てきた時には、振り返った瞬間、ギャーっという歓声があがりました。
歓声が止まらないと大スターなのかと勘違いしてしまうほどで、中国での2次元のキャラクターの人気を感じました。
「陰陽師」~平安絵巻~
「陰陽師」~平安絵巻~というミュージカルでは、上海、深セン、北京で講演し、1か月中国に滞在しました。
こちらは、題材としては日本のものなのですが、原作は中国のゲームです。
ゲームとしては全世界で2億ダウンロードがありました。
ゲームの特徴としては、日本のコンテンツを使って、声優も日本の声優を使っているにも拘らず、製作は中国という点で、ゲーム内の字幕も中国語です。
そのミュージカル版として訪中させていただいたのですが、これははじめて日本と中国が合作でタッグを組んで作った2.5次元ミュージカルとなりました。
10日ずつ上海、深セン、北京に滞在し、それぞれの都市で景色も食事も違って、役者もスタッフも行くところ行くところで食べ物や観光などを楽しみました。
火鍋を囲んで食べたり、上海では上海ガニを食べたり、青島ビールなども飲みました。
表現をする際には、その地域の食事を食べる、飲むということも大切だと思っています。
NPO法人日中映画祭実行委員会プロデューサー
2.5次元ミュージカルの活動を中国で行っている中で、日本と中国とエンタメを通して交流をしている人材として日中映画祭実行委員会のプロデューサーとしてお声かけいただきました。
日中映画祭の開会式のセレモニーの演出、構成、振り付けなど行っています。
2019年は上海の映画祭で日本のアーティストと上海の子どもたちのコラボレーションによる、映画「君の名は」の主題歌になっているRADWIMPSの「なんでもないや」の演出、振り付けもしました。
2020年は10月27日から11月1日まで中国映画週間が開催されます。
新型コロナウイルスの関係で縮小しての実施になりますが、このような大変な時だからこそできることもあると考えています。
2.5次元ミュージカルとは
2.5次元ミュージカルとはいうのは、1つの答えがあるのものではありません。
2次元がアニメ、ゲームであるのに対して、現実世界が3次元。
2.5次元というのはその間にあるものといった感覚ですが、その解釈はさまざまです。
そこが役者側での挑戦しどころだと感じています。
たとえば、2次元寄り、つまり原作の内容に忠実に2.5次元をつくるのか。
もしくは、3次元寄り。つまり演じる俳優に合わせて2.5次元を作っていくのかで作品が変わってきます。
2次元に忠実と言っても、演じる限り演者の呼吸などアニメにはない部分がミュージカルには入ってきます。
また、演者の体調やお客様の反応は毎回違うので、毎回違ったものになるというのも2.5次元の面白さだと思います。
ステージ上で役者は日本語で演じます。
中国語の字幕も表示されますが、日本語のセリフを言った時に笑ってくれたり、泣いてくれる人もいたのが印象に残っています。
中国の人と話をしてみると、日本語はアニメ、ゲームで覚えたという人が多く、言葉の壁さえも超えるコンテンツになっているのだと感じました。
中国で講演する場合は、日本人スタッフと中国人スタッフが協力し合って1つのものを作る形になります。
そこも中国で講演する時に感じられる日本との違いの一つかと思います。
日本と中国のエンタメの違い
CGの積極的活用
日本と中国の映画での違いとして感じるのは、中国はCGが多く使われていること。
私自身がミュージックビデオに出演した時も後からCGを入れるため、スタジオの中でグリーンスクリーンをバックで撮影する時が多かったのが印象的です。
最先端で新しいもの、それが武器になっていて、中国コンテンツの魅力の一つではないかと感じています。
お客様としての反応
2.5次元ミュージカルを楽しんでくれるという点では日本も中国も同じです。
ただ、日本ではかなりの数の2.5次元ミュージカルが上演されていて、日常に近づきつつあるのではないかと感じます。
2.5次元と言っても、3次元よりの2.5次元という感じです。
一方、中国の場合は、まだコンテンツが少ないため、2次元寄りの2.5次元といった感じで新鮮さがあるのだと思います。
オープニングで出演した瞬間に号泣をする方、歓声が止まらないといった反応がダイレクトに伝わってくるなという印象です。
もしかしたら、これは単に感情を表に出すかどうかという違いなのかもしれませんが。
そういった点では、感動するシーンで、中国では「ワオ」とか「おー」という声が出たりします。
イタチが死んだときに「oh my god」と英語で言った人もいました。
日本では感動シーンは静かなので、中国ならでは科と思います。
技術面の違い
中国講演では日本のスタッフが照明や音響も行いました。
そういった点では技術についてはあまり感じられませんでしたが、試写会の際に大きなLED画面を使ったことが印象的でした。
あれだけ大きなLED画面だとかなりのコストもかかると思うので、そのような設備を置けるのが中国の魅力かと思いました。
Q&A
今回はオンラインでの講演会ということで、観覧されている方々から質問を受け付けました。
Q.日本のエンタメコンテンツはどのようなジャンルが中国では受け入れられやすいのでしょうか?
日本のアーティスト、アイドルは中国でも人気がると思います。歌って踊れば女性ならかわいい、男性ならカッコ良いということで、世界共有の観点かと思います。
Q.中国語を勉強したことは?
陰陽師のカーテンコールで中国語を話す場がありました。
そのために必死で練習をして話せるようになった。
「陰陽師の晴明役を演じている良知真次です。ミュージカル陰陽師はどうでしたか?僕はみなさんのことを大好きです。」ということを中国語で今で言えるようにしました。
日本と中国の文化交流で大切にしている点は?
国同士のことなので、政治的な問題が発生することがあります。
しかし、つながったものを大切にするということを心がけています。
新型コロナウイルスで講演なども中止になることが多いですが、大変な時だからこそ、エンタメの火を消してはいけないと強く思っています。
中国で驚いたことは?
撮影の時に、日本では監督が「ヨーイ、はい」といってスタートします。
中国では中国語でそのような言葉があると思っていました。
しかし、実際に監督が言ったのは、「3,2,1アクション」と言っていて、英語なんだと少し驚きました。
経営者となっては変わった点は?
製作者としての立場になりました。
ただ、その際も表現者として現場に行ったこと、感じたことを製作する時も意識して伝えるようにしています。
都市によって舞台の客の反応は違いはありましたか?
あまり違いは感じませんでした。
それよりも日によって違うということを感じました。
というのも、生身の演者が演じるので、毎回笑う部分などが異なるからです。
最後に
日本と中国でエンタメ、文化交流をすることについては、国境の壁はないと考えています。
言葉がなくても伝わることは多いと思います。
そのようなことを大切にしながら、エンターテイメントの挑戦をしていきたいです。
11月Fun Fan Chinaオンライン講演会予告
11月度のFun Fan Chinaは北京外国語大学国際商学院の中国人先生および北京で活躍する日本人学生団体の代表に登壇して頂きます。
中国人のライフスタイル最前線の情報や、北京で日本人学生たちがどのような活動をしているのか、気になる方は11月28日の講演会にも是非ご参加ください!
(HP近日公開予定)
では、また次回!